クロスセクションポリッシャ断面加工

従来の方法で難しかった試料でもきれいな断面が作れます

 CP(Cross Section Polisher)はイオンビームを用い、平滑で加工歪やだれの無い、清浄な試料断面を作製することのできる装置です。加速したアルゴン(Ar)イオン粒子を試料に照射し、原子や分子が弾き出されるスパッタリング現象を利用して、応力をかけずに試料を切削します。従来の研磨加工では完璧な鏡面仕上げの難しい銅やアルミニウム、金、はんだ、高分子等の軟らかい材料や、硬くて脆いセラミックやガラス、また、これらの硬い材料と軟らかい材料が混在している物の断面加工に優れています。走査電子顕微鏡による数千倍以上の断面観察や、EDS及びWDS等による微小部調査の断面加工に適しています。

試料内部の構造を忠実に出現させます。

 特に、金線とアルミパッドとのボンディング面間のボイド(空隙)のように、従来の機械研磨ではつぶれて観察できない構造を忠実に出現させることができます。また、めっき層間の密着度やはんだの密着度の確認、異物の断面解析にも適しています。

表面に対して垂直な断面が作製できます。

 試料直上にスパッタリング速度の遅い遮蔽板を置き、その上からアルゴンのブロードイオンビームを照射してエッチングを行うことで、遮蔽板の端面に沿った断面を作ります。試料表面とイオンビームは常に直角なので、断面は表面に対して直角となり、正確な厚さ測定などを行うことができます。

CP(Cross Section Polisher)の有効性
機械研磨では満足できないこんな時に
①複合材料の軟らかい部分と硬い部分で段差が生じる。
②軟らかい材料や孔の空いたサンプルで研磨剤が入り込む。
③結晶性のある金属で表面が歪み、結晶構造を確認できない。
④接合箇所が剥離する。
⑤軟らかい金属部分の表面が延びる。

例1 基板に搭載されたICのはんだ接合部の断面

研磨による断面作製では潰れてしまい観察しにくい2種類の合金層が、はっきりと分かれて観察できます。また、銅(Cu)の結晶組織も観察できます。

例2 クリップの断面

クロスセクションポリッシャでは非常に精密な断面が作成できます。ニッケルめっき(Ni)の皮膜及び鉄鋼材料(Fe)の結晶組織が明瞭に写し出されています。

例3 印刷された紙の断面

切断や研磨による断面作製では潰れてしまう紙のセルロース繊維がはっきりと観察できます。インクに含まれていたFeと紙に添加されているCaの分布をエネルギ分散Ⅹ線マイクロアナライザで測定しました。