燃料油をガスクロマトグラフ(GC)を用いて判別する

石油は数億年前の生物の死骸が海底や湖底に堆積し、長い間に地熱と地圧の影響を受け、熟成されて石油に変化したとされています。油田から採掘された原油は基本的に炭素と水素から出来ており、僅かに硫黄、窒素、酸素、金属類を含んでいます。原油はまず製油所にある加熱炉で350℃に加熱された後、石油蒸気となって常圧蒸留装置に送られ、沸点の差によって各種石油留分に分けられていきます。分けられた石油ガス留分(LPガス)、ガソリン・ナフサ留分(ガソリン、ナフサ)、灯油留分(ジェット燃料油、灯油)、軽油留分(軽油)、残油(重油、アスファルト、潤滑油、石油コークス等)が石油製品になるわけです。用途も様々で、4割が工場や家庭等の熱源として、4割が自動車や船舶、飛行機等の動力源として、残りの2割がプラスチック・洗剤等の化学製品の原料として利用されています。

燃料油と称されるガソリン、灯油、軽油及び重油は多くの炭化水素で構成されています。ただし、蒸留によって分けられた成分ですから、それぞれ主要な構成成分が異なるものになります。尚、ジェット燃料は灯油の一種です。また、重油は軽油留分と残油を調合して製品にしたものですが、粘度の違いによってA重油、B重油、C重油に区別され、用途に応じて利用されています。

これらの燃料油はガスクロマトグラフ(GC)で測定すると、構成成分の検出パターンから容易に判別することが可能です。ガソリン、灯油、軽油及びA重油のガスクロマトグラムを示しました。

石油製品用   途
石油ガス留分ガスレンジの燃料、タクシーの燃料など
ガソリン・ナフサ留分車の燃料、石油化学製品の原料など
灯 油 留 分石油ストーブの燃料、ジェット機の燃料など
軽 油 留 分トラックの燃料、バスの燃料など
残  油船の燃料、火力発電所の燃料、アスファルト、潤滑油など
カラムDB-5 0.53mm I.D. × 30m
カラム温度40℃(3min) → 10℃(1min) → 270℃保持
注入口温度270℃
キャリアHe 30kPa
検出器FID 270℃ ATTE 24
注入法スプリット 1:30
注入量0.1μL
ガスクロマトグラフ分析条件